介護施設長が語る!介護のお仕事のススメ
施設(介護職)で働くということ
介護の仕事が一般化してきたのに介護離職者は増える一方というのは、あまりにも矛盾しており社会問題化するのもそう遠くありません。
では、何故こんな矛盾が発生するのか。それにはあまり語られていない施設の真実があるのです。
施設で働く介護職の実態をお教えしましょう。
介護職は給料が安い?
数年前の話ですが、介護で働く人向けに国から特別に支給されたお金がありました。これは現在も継続されています。
このお金、実は施設運営者向けに支給されたものを施設内で分配という方式で、現場に支給するという施設がほとんどでした。
何故なら介護施設では介護職以外の職種も多く働いており、介護職だけに支給されるのでは不公平感が生まれるからという理由です。
今はどうなのかというと、筆者の知る限りでは「介護職に対する比率を少し高く」して分配されているのがほとんどの様です。
では何故このような支給が国からあったのかが気になるところでしょう。
一概に「介護職は給料が安いから」という理由に尽きます。
悲しい事ですが、介護を必要としているけれども「それに充てるお金が無い」というのが事実で、これは今後も変わる事は無いでしょう。
でも介護を必要としている事実も変わらないわけで、結果としてそこで働く人に対する経費を削るしかないのが現状です。
そうすると当然対象となるのが「現場の介護職」となってきます。
筆者は介護の現場を6年程で管理職となりましたが、20代であった当時は結婚して家も建てられないと考える程安かった印象があります。
当直まがいの夜勤を16時間通しで月に4回して、月給の手取りは12万程度でしたからとてもじゃありません。
まだ介護が流行っている真っ最中で、介護離職者なんて言葉は聞かれなかったころです。
介護職の給料は上昇してきてます
その後、介護離職者が増え始め施設の運営そのものが成り立たないという事態がちらほら、そんな時代がやってきました。
経費が無いからと人件費を削る事で、結果働く人が来なくなり過ぎて運営出来ないのでは元も子もない訳で、介護業界も変わってきています。
昔は確かに「経営者が儲かっていた」という経緯もあり、しかもボロ儲けだった事もあります。
しかし経営者もその運営自体が、存続の危機に陥ってしまったのです。
こういった事から「介護の仕事はお給料が安い」というデメリットが知られてしまい、元々あった介護は3K労働という認識がダブルで重なりました。
離職者だけでなく、興味を持ちかけていた人も離れていったのです。
国全体として介護離職者の問題が表面化した事もあり、賃上げの雰囲気に繋がったのでした。
今では昔に比べだいぶ改善されました。
他の一般的な仕事と比較するとまだまだ安いお給料ではありますが、一家の大黒柱という方もいらっしゃいます。
営利目的で大々的にやれない事業でもある事から、決して高いお給料ではありませんが「やっていける仕事」ではあります。
仕事を探す時の絶対条件としてお給料は気になりますし、介護の仕事を続ける意味でもしっかりとしたお給料は必要です。
介護の仕事内容はきついの?
結果から言えば他の仕事と比べて一長一短だと言えます。きついのかどうかは、この仕事に向いているか否かが重要です。
夜勤についての質問が非常に多い介護の仕事ですが、夜勤だけ見れば手当てが出ている事から考えるときつい瞬間はあるかもしれません。
ですが夜勤でやらなくてはいけない仕事というのは、事前にしっかりと決められており「待機出来る体制」のために仕事量がぎっちり詰まっている訳ではありません。
意外かもしれませんが、夜勤についての心配はほとんどが「慣れ」で解決出来ます。
未経験者から介護をトータル的に見た場合、やはり夜勤が気になる部分ですね。
介護のお仕事には向き、不向きがあります
向き不向きですが、介護の仕事は入職した以上「向いてくる、向くしかない」と言えます。
介護とは四六時中オムツ交換をする仕事ではなく、「コミュニケーションを取る仕事」というのはあまり知られていません。
どうしても一般的なイメージからすると、常に高齢者のお世話をしている感じがあるようです。
実は違って介護職員の中には、「今日は一日しゃべりっぱなしで終わった」と感じる人もいるのです。
一日中コミュニケーションを取る事しか仕事が無かったという事です。
担当や当番制で洗濯等の「非介護業務」をやるだけの日もあるので、名は介護と付いていてもその日の仕事内容が必ず介護だけかというとそうでもありません。
ただ全ての介護職員に毎日共通してやらなくてはならない仕事は、高齢者とのコミュニケーションであって「介護ではない」という不思議な矛盾があります。
実は会話も介護の一環であって、これは毎日起こる仕事です。
唯一きついと言える仕事は、個人によっては体調が悪かろうが高齢者と話す仕事は毎日あるという事です。
介護によく挙げられる仕事の一つ、代表とも言える介護が「オムツ交換」です。
しかしこの実働時間なんて一人当たり5分程度ですから、肉体的なきつさはほとんど感じなくなるでしょう。
介護の仕事は死に直面する仕事
言うなれば相手が高齢者である事から、死に直面する事は介護をする前に比べると多くなると言えます。
筆者の体験で言えば「さっきまで寝息を立てて寝ていた高齢者が、5分後に違う人が見にいったら亡くなっていた」という事もありました。
何も元気な若者相手の仕事ではなく、亡くなる前の「余生を送っている人」が相手のほとんどですから死に立ち会う事だってあるでしょう。
1階の夜勤で3人が亡くなった事もありますし、こればかりは何とも言えません。
ただ勘違いしてはならない事は、施設は死を迎えるための場所ではないという前提がある事です。
現在の日本では「死ぬと分かっている人間は病院に行く」というのが普通であって、いくら施設とは言ってもそんな簡単な話ではありません。
決して介護職員だからと言って人の死に慣れている訳でもないのです。でもバタバタと亡くなっていくようなイメージは間違いです。
これが怖いといって介護の仕事を敬遠する方もいますが、「敬遠する理由」としては介護の仕事で得られる経験と比較するともったいないかもしれません。
介護の仕事をおすすめする理由
おすすめ出来る理由として、以下のようなものが挙げられます。
・絶対に介護の仕事は無くならない(経験がいつまでも活きる)
・人のためになるという充足感は間違いなく得られる
・ますます増える介護問題の先駆者になれる(まだまだ介護は未発達と言える)
特に気になるお給料と仕事内容の比較ですが、介護の仕事は一時期ですが公務員化されるというウワサまでありました。
それだけ国の肝煎り事業でもあり、絶対に無くなる事はないでしょう。
仕事の有無だけを客観的に見たとしても、今これを読んでいるあなたが定年まで仕事は保証されていると言っても良いです。
定職がある事を第一に考えているのであれば、介護の仕事は間違いありません。
無くならないと言われる仕事の一つに看護もありますが、これに比べると介護は資格も難しくはありません。そのやり易さは言うまでもないでしょう。
毎年出される「将来(10年後)に人がやらなくてもよくなる仕事」というものがあり、この中に介護の仕事はランクインしています。
しかしそう言われて少なくとも5年は経過していますが、一向に「人の手がいらない完ぺきな介護」は確立されません。
それだけ人の手でしか出来ない仕事と言えます。今では工業高校にまで新卒の求人が来るぐらいになりました。
難しい仕事→やれそうな仕事になってきました。
お給料面もだいぶ見直され、介護を始める時期としては相応になってきました。
新しい一歩を踏み出してみませんか?