現役理学療法士が理学療法士の仕事内容を解説します
地方における中規模病院に勤務している 8年目の理学療法士です。現役理学療法士が仕事内容を徹底解説します。
一般的なリハビリのイメージは、杖を持っている高齢な患者さんと歩いたり、ベッドで寝ている患者さんの足を曲げたり伸ばしたり、そのようなイメージだと思います。
しかし実際のリハビリは非常に多種多様な分野に分かれています。
リハビリの対象者は高齢者だけではありません。
小児に対するリハビリ、スポーツ選手に対するリハビリ、出産後の女性に対するリハビリ、一般企業に対して社員の労働力を守るために行うリハビリなど、今は非常に多くの分野においてリハビリの必要性が注目されています。
また実際の治療方法も様々になっており、基本的な患者さんとの運動はもちろんのこと、栄養学を応用したリハビリ、心臓や肺に特化したリハビリ、予防のためのリハビリと年々新たな分野が確立されています。
一時期はリハビリはもう下火になっていると言われた時代もありました。
しかし今は多様性という新たな局面にさしかかっています。
その中で、私が選択したリハビリの紹介をさせて頂ければと思います。
私は糖尿病に対するリハビリを専門とすることを選択しました。
私が住んでいる地域は全国的にみて糖尿病が非常に多いことで有名です。
そのような環境でリハビリを行っていたため、自然と糖尿病患者さんと触れ合うことが多くなりました。
そして何よりも目の前に糖尿病で困っている患者さんの力になりたいと考えるようになっていきました。
新人の頃、私は決して熱意のある理学療法士ではありませんでした。
しかし、今は自分が社会の中で、地域の中で何ができるのか、そして何をするべきなのかを模索する毎日を送っています
自分でも変化することができたと感じています。
これは理学療法士という職業が自分を成長させてくれました。
そこには責任があり、達成感があり、自分を高め挑戦することができる場があります。
私が専門としている糖尿病は一度診断されると、完治は難しいことが多い病気です。
患者さんは一生涯病気と付き合っていくことになります。
その一生涯の中で理学療法士として患者さんの力になり、より良い生活を送れるように協力することが理学療法士には可能なのです。
自分がリハビリを行うことで、日に日に良くなっていく姿を見ることは何とも言えない達成感があります。
しかし、それは自分の能力次第です。自らを高め、そしてそれを提供することを求められます。
非常に責任とやりがいのある職業だと思います。
また今はインターネットという開かれた環境がありSNSを利用した活動や学会などが非常に盛んになっています。
SNSで知り合ったグループでリハビリ以外の活動も行い、患者さんと近隣の観光地を巡るウォークラリー大会、管理栄養士を招いての糖尿病食の食事会、地域の商店街での糖尿病予防の普及活動にも参加しています。
それに加え自分が学んだ知識、病院や地域での活動で得た経験を論文にして発表することも可能です。
世間に向けて自分の力を試すことができます。
学会発表や論文書くことは自分の功績を未来に残すことができます。
今の世の中はインターネットが普及しており、自分の発表は将来永遠に消えることはありません。
未来の理学療法士が自分の発表を参考にし患者さんの治療を行い、地域に対して活動を行う。
一個人にそんなことが可能なのです。
決して簡単な道のりではありません。
しかし、その努力の先には必ず結果がまっています。
理学療法士は今非常に多様化している職業だと思います。
その多様化の一つをあなた自身の力で切り開いていく事ができます。
それは一生涯にわたり社会のため、医療全体のため、そして何よりも患者さんのために行える事です。
リハビリ
リハビリっていう概念が一番発達しているのがアメリカです。
リハビリは、アメリカが戦争の後に負傷した兵士に対して多く行われ、効果を発揮しました。
ですので、リハビリが一番効くのは、若い、リハビリに対して意欲がある人です。
日本の介護施設で働いていると、主に老人に対してリハビリが行われている光景ばかり見るので、老人が行うものだというイメージになってしまいますが、本当はけがや病気で体が不自由になった若者がメインなのです。
リハビリ士の現場
私が働いている特別養護老人ホームでもリハビリ士(PT)はいます。
仕事自体は介護から切り離されていて、なんか正直、見てて楽そうな仕事内容です。
ご老人の方とのコミュニケーションが大事ですので、独特のキツさがありそうには思えますが、PT自体はそんなに激しい運動をするわけでもありませんし、汚い仕事をするわけでもありません。
リハビリの効果は万能ではない。老人になると薄まる
お年寄りでもリハビリをうけたほうがよいのは事実なんですけど、たとえばリハビリをしても脳の損壊があって、それが原因で麻痺している場合には、そういうのを完全に直すっていうのははっきりいって、現代科学では不可能です。
介護職もリハビリを手伝う事になります。
直接介護士がリハビリをするのではありませんが、トイレで立っていただく時に、安易に介護士が抱えるのではなく、ご老人の本人の力(残存能力)を使って立ってもらう事で、その人の生活意欲を引き出す事ができます。
結果、長生きできたりします。
トイレでの立位一つでも、大事な大事な残された力なわけです。で、その力を保つっていう事は介護であり、リハビリ的側面もあるのです。
介護は、単に高齢者の数が増えたから必要になったのではありません。
病気と元気の間にある多様かつ個別な人々のニーズに応えるために登場したのです。
介護で大切なのは、一人ひとりの心身の状況を把握し、個別のニーズに応じた生活をつくり出す事です。
日常の基本的な行為が少しでも自立できるように支援するのは、本来リハビリの役目です。
それができていないために、退院したお年寄りを介護職が自立支援しなければならない現状があります。
通常、急性期病院の次は回復期病院(リハビリ専門病棟)ですが、今のリハビリ専門病棟は、改善が期待できない人の受け入れには消極的です。
お年寄りであれば最初から対象にならないこともあり、急性期病院から退院を迫られると、すぐに生活がはじまってしまいます。
まぁ、でも、自己の身は自分で守る必要があるとはいえ、退院後、すぐに生活がはじまってしまうというのはなんとも受け皿のない事だと思います。
まだ認知症が進んでないうちに、まだ体が動く内に、よく頭を使って、よく体を使って働かないといけないな、介護をしているとそんな風に思えるようになります。
病院、介護施設で行われるリハビリは本格的
理論上、いう通りにできるようになれば、普通の生活に戻れる事になります。
病院では、病気の治療と並行して、入院中に身体機能を回復させようと、リハビリを行います。
現在では、機能回復できるかが統計的に予測できます。症例と結果が出てきて、結びつけれるようになってきているのですね。
ですので、どんな運動ができるようになれば、こんな風にまでなれる、機能を回復できる、という事がわかるようになってきいます。
その目標を達成すれば健康になれる、という目標が見れるようになってきているのです。
理学療法士は今非常にはじめるのにいい職業だと思います。
社会から求められ、その役割も自分たちが作っていく事ができるからです。