介護職10年の介護福祉士が介護の仕事を語るよ
介護福祉士という仕事 現場一筋10年目、現役の介護福祉士です。
これから介護業界を目指す方、介護業界への転職を考えている方へ。
「大変」「不規則できつい」「給料が安い」そんなイメージがありませんか? 介護の仕事は、見方次第で180度変わる、とりあえず、「楽しんだもん」勝ちです。というお話をさせていただきます。
なぜ介護職を目指そうと思ったのか?
あなたはなぜ介護職を目指そうと思いましたか?
人の役にたつ仕事だから?お年寄りが好きだから?
将来両親の介護をする為?
どれも立派な理由だと思います。
ちなみに私の場合、最初は全く介護福祉士になるつもりはありませんでした。
当時、進路に迷っていた私に、母が有無を言わせず 「これから必要な職業だから絶対に取っておきなさい。
求人も多いし、手に職をつけておけば今後食べるのには困らないから。」 と勧めてきたことがきっかけでした。
それまで高齢者と触れあう機会は全くなく、 関わり方すら分からない私にとって興味のある分野ではありませんでしたが、 「資格さえとっておけばいい」と割と安易に進路を決めました。
それから気付けば早10年、この業界に身を置いています。
それは何故なのか。
確かに介護の仕事は不規則だし、まとまった休みもなく、責任も重大です。
それでも「やりがいのある面白い仕事」だと感じるから。私の場合、介護の仕事に10年身を置くのはその一点のみが理由です。
介護の仕事はお年寄りの人生に触れる
前述した通り、私は介護職に興味を持たずして介護福祉学科のある学校へ進学したので、介護実習はそれはもう嫌で(笑) 特に排泄業務に関しては「人の下の世話なんてできない」と強く感じていました。
実際、初めて排泄介助を見学した際には強い衝撃を受けました。
もし自分が逆の立場であれば、他人に最も見られたくない部分を見られてしまうのですから。
しかし日を追うごとに慣れてしまうもので、今では排泄の話をしながら食事ができる位になりました(笑) 排泄実習では衝撃を受けましたが、それ以上に私が実習を通し感じたことがあります。
それは、お年寄りは優しく謙虚で、人生の先輩に対して失礼かもしれませんが、 とにかくキャラクターが個性的で可愛いらしい方が多い、と言うことです。
またそれぞれの人生に触れることで、激動の時代を生き抜いてきた尊敬に値する方々ばかりだと感じました。
自分の人生を見つめ直す機会も多分にありました。自分自身を見つめなおせるというのは介護の仕事の大きなメリットですね。
そして実習を通すうち、介護福祉士として働きたい、そう思うようになり就職を決めました。
介護福祉士として働く上での環境について
介護の仕事に就職する、と決めた私ですが、もちろん最初は不安だらけでした。
実習先の職員さんはしっかりとした方ばかりで、自分も将来そんな風になれるんだろうか?
給料はどれ位もらえるんだろうか?
残業は多いのか?体力的にもつか?就職先での人間関係はうまくやっていけるんだろうか?
等々、心配事ばかり。
しかし実際に10年間働いてみて、当初考えていたよりも、良好な環境で働くことができています。
まず介護の仕事の残業について
これは一概には言えませんが、ほとんどの職場で研修や行事の準備、記録などで残ることはあります。
しかし私が今まで働いてきた施設で言うと、残業は平均月に5~6時間程度でしょうか?
今の職場に至っては月の残業が全くないことも多いです。
一般の企業と比べても少ない方ではないでしょうか。
介護の仕事の給料
そして給料面では、私は現在一人暮らしをしているので就職活動の際には休日数の多さの次に重要視しています。
基本給は16~18万円の間の施設が多いですね。
基本給が高い職場は、休日が少なかったり残業が多かったりと言ったことが多いと思います。
私の場合、基本給は16万以上+手当てで手取り20万以上がもらえるであろう施設を選んで求人を絞りこみます。
今であれば処遇改善手当てと、経験年数に応じて基本給も上乗せされますので大体月に22万前後は頂いており、 生活の方は十分成り立っています。
介護の仕事の人間関係
次に人間関係について、これは同じ職場で働き続ける上でとても重要です。
年齢層的には20代前半~30代後半が現場では多く、パートの方だと40代~50代が中心です。 全く別の業種から介護の現場へ、と言った方も少なくありません。
改めて自分でも考えてみると年齢層も広く、経験値も様々な人種が入り交じっている職種ですね・・・ ですので周りとの介護観の違いや、働く姿勢について合わない、と言ったことはもちろんあります。
ですが、基本的にお年寄りが好きで働いているスタッフがほとんどです。
根本にある気持ちは一緒なので、理解しあえる部分は多いです。
介護施設と言う場所はこんなところ
私は現在、介護老人保健施設で働いているのですが、在宅復帰を目標に入所してこられる方々が主です。
実際本当に帰ることができるのか?と疑問に感じる方もいるかと思いますが、もちろん家庭の事情などもあり人によって様々です。
しかし私は、骨折し歩けなくなった方が数ヵ月後にはすたすたと歩けるようになったり、 オムツで排泄をしていた方がトイレに一人で行けるようになり、自宅へ帰っていった方々をたくさん見て来ました。
また施設というと、どうしても暗いイメージがありますが、老健ではこのように在宅復帰を目処にしている方もおられ、 そのお手伝いができることにやりがいを感じています。
また行事や日々のレクリエーションも豊富なので、賑やかな場所が好きな方は老人保健施設で働くことをお勧めします。
オープニング施設で介護の仕事をはじめる、という選択肢
私が最初の就職先として選んだのは、オープンしてすぐの老健でした。
その理由は、スタッフ皆が1からのスタートで関係性を作りやすいということ。
また業務の流れや行事の基盤となる部分を、スタッフ皆でつくりあげていくことにやりがいがあると思ったからです。
実際に働き始めて意外だったのですが、スタッフは20代後半~30代が多く、別業種からの転職組のスタッフもいました。
逆に同じ年代のスタッフは少なく、配属された部署に至っては私のみ新人、という状況でした。
しかし色々な年代、経験値をもつスタッフがいることで、様々な意見を取り入れることができます。
転職組のスタッフや新人として働いていた私もやってみたいと思ったことや新しい取り組みを提案しやすい環境でした。
自身の介護観を反映しやすく、皆で取り組むことで、結束力が強いものになっていく点もオープニングで働く上で大きなメリットです。
作り上げていく過程は大変ですが、自分の思う施設作りをしたい!と言う方や転職を考えている方は、 オープニングスタッフとして働くことを選択肢として考えてみてはいかがでしょうか
最後に 実習生をしていた時、今でも忘れられない言葉があります。
それはある利用者様に「こんなおばあちゃんになったらあかんよ」と言われ、当時の私は何も返すことができませんでした。
実際心のどこかで将来の自分を重ね、それを見透かされていたのかもしれません。
10年間介護の世界に身を置くことで、数々の経験を通し、嫌なことも辛いこともたくさんありました。
しかし何よりも、楽しく可愛らしいお年寄りの方と関わることができるこの仕事がとても好きです。
今ならば「私も将来そんな年の取り方をしたいです」と胸を張って答えることができます。
人の役に立ちたい、将来手に職をつけたい、私のように資格を取っておきたい、入り口はなんでも良いと思います。
必要なことはお年寄りを敬い、大切に思う気持ちだと思います。 そして最初にお伝えした通り、「楽しんだもん勝ち」ですよ!