理学療法士に向かずに辞めてしまった実例
どんな職業にも理想と現実があります。
想像していた世界と違い、辞めてしまうとそれまでの苦労も水の泡。
理学療法士の世界でもせっかくがんばって理学療法士になったのに、向いていないと言って辞めてしまう人も少なからずいます。
理学療法士に向かずに辞めてしまった実例としては、どんなケースがあるのでしょうか?
実例:理学療法士になったが入院患者さんとうまくコミュニケーションがとれなかった
理学療法士の仕事は、患者さんと一対一で行うことが多い仕事です。
休みの日に代わりの人に頼むことはあっても、基本的には担当制で退院までずっと変わりません。患者さんとの関係性に悩んでしまうと、仕事が続けられなくなってしまう人もいます。
理学療法士の仕事は素手で相手の身体に触れる仕事なので、よりコミュニケーション力が求められます。もちろん人間同士なので相性もありますが、場合によっては患者さんから拒否されてしまうこともあります。
患者さんにもいろいろなタイプの人がいます。
病気になってしまって後遺症があることを悲観している人も少なくありません。
相手の心境に合わせて対応できるコミュニケーション力が必要ですが、それが難しい人にとっては理学療法士の仕事自体が難しいものになってしまうかもしれません。
実際患者さんとのコミュニケーションがうまく取れずにトラブルになってしまう理学療法士もいます。病院での理学療法士の仕事は、患者さん一人に対して20分単位で報酬が決まっています。
どの病院でも目標単位が設定されていますので、経営面からも決まった計画通りにリハビリを行うことが求められますので、トラブル続きでは職場に居づらくなってしまうこともあります。
病院だけが理学療法士の職場ではない
「理学療法士=白衣を着たリハビリの先生」というイメージが強いかと思います。
実際大部分の理学療法士は現在も医療機関で勤務しています。
ですが仕事の場所は介護分野にもあります。
老人保健施設や特別養護老人ホームなどの施設系サービスもありますし、デイケアやデイサービス、訪問リハビリといった在宅系のサービスもあります。
介護保険でのリハビリは、病院でのリハビリを一通り終えた後の方が対象となるので、利用者さんとの関係性も病院と比べると幾分のんびりしていると言えます。
こちらの雰囲気の方が合うという理学療法士も多くいます。
もし理学療法士を辞めたとしたら、どうする?
理学療法士の資格は国家資格です。今のところ更新の必要はなく、一生使える資格と言えます。
ですが仕事をするにはひとつ絶対条件があります。分かりやすく言うと「医師のいるところでしか働けない」という条件です。独立開業することはできないので、理学療法士として転職するのであれば、転職先は同じ病院や介護施設となります。
フィットネスクラブや整体などの仕事を探すことはできると思いますが、「理学療法士が指導・施術を行います」といった宣伝を行うこともできないので、違う分野に転職するとなると制約のある職業と言えます。
理学療法士の経験が役立つ仕事
リハビリの現場を離れても資格を生かしたい、ということであれば福祉用具販売業者や養成校の教員になるという選択肢もあります。
また自治体の高齢福祉課などに公務員として勤務している理学療法士もいます。
経験が満5年以上であれば、試験を受けてケアマネジャーとなり、ケアマネ業務をすることもできます。
これらの仕事に就く理学療法士は、全体から見ればごく少数となりますが、それぞれの分野で経験を生かした仕事ができると思います。
理学療法士になるのは決して簡単なことではありません。
最低でも3年間という時間を学校に通って勉強することに費やし、学費というお金をかけなければなれない職業です。今から理学療法士になりたいと考えている人は、冷静に自己分析をして、ぜひ後悔のないようにしてください。