未経験から介護の仕事をはじめた中年男性の介護職体験談
了解!で怒られる介護のお仕事。変なの
ヘルパー資格も取得し意気揚々と仕事を開始!でも甘くない介護の仕事でした。
そんな辛い仕事ですが、せっかく始めた仕事でもあります。
辛く長い見習い期間を乗り越えるには?そんな問題を解き明かす手段とは何かを考えてみましょう。
介護と言えば老人ホーム
これも一般的な意見ですが、介護と聞くと「老人ホームの職員」と言うイメージを持つ方が実は8割という事を知っていますでしょうか?
筆者もそう思い老人ホームと呼ばれる施設に応募しました。
介護の就職試験で落とされる
一つ目の施設は老人保健施設でした。
筆記試験があり見事に落選、いきなり出鼻をくじかれた瞬間でした。
そもそも体使う仕事なんだから筆記試験なんて無いだろう?あっても、つい最近まで講座を受講していたから簡単だわ。なんて思ってましたからね。
これでは受かるはずもありません。
でも、出世?してその後この施設ともお付き合いが出てくるとは思ってもいませんでした。恥ずかしいの一言です。
さて気持ちを切り替え2つ目の施設は特別養護老人ホームに応募しました。最初の失敗を活かして次は猛勉強しました。
しかしこれまた思い通りにはいかず、面接のみの簡単な内容でした。
3人の受験者がいて男性である事からこれも見後に落選、この時点で少し折れかけた志となりつつありました。
後日「男性に空きが出た、君みたいな人がいても面白いから来てみないか?」と電話が来て大逆転の介護人生がスタートしました。
この電話をくれた方が、実は後に師匠となる方でした。まだ残っていた志に我ながら感謝感謝です。
介護が持つ潜在的イメージ
今でこそ違うかもしれませんが、介護は男性がするイメージは少なかったと言えます。
実際筆者は介護を始めたころ父親に「そんな仕事なんかしないでもっと他にないのか」と問われたことがあります。
まさに団塊の世代である筆者の父親ですが、高度経済成長の波に乗り建設業を生業として来た男性です。
その息子が介護をするなんて、夢にも思っていなかったのかもしれません。
筆者が介護を続けるに連れ、その考え方も崩壊したようですが。
やはり「介護≒きつい、汚い、苦しい、男性が?」という意識は潜在的にあると言えます。加えて筆者は「来たくない」を付け加えて4K労働なんて言ってました。
老人ホームでの仕事を始めるということ
無事に特別養護老人ホーム(以後:特養)での仕事がスタートしました。緊張の初日は何をしたのかハッキリ覚えてもいませんが、冷や汗と緊張の連続だったと思います。
更に筆者は男性という事もあり、余計に立ち位置が分かりませんでした。
介護職員が25人いる中で、男性は筆者を含め3人でした。
そのため非常に「浮いていた」のを覚えています。性別を考えないとしても、早く仕事を覚えて目立たない存在にならなければと必死でした。
どうあれ仕事を出来ないのであれば、介護職員としての立ち位置もままなりません。当然干されます。そんな職場での介護職スタートとなりました。
仕事をするための土俵にすら立てない新人
スタートは切りました。しかし「仕事をするためにいる介護員では無かった期間」が非常に辛いのも介護職の厳しいところでもあります。
なんというか、ヘラヘラ笑っているだけの期間が2日程続きました。
やっと先輩から声をかけられたのが3日目の午後でした。
専属の指導者が決まり、その方の紹介から始まりました。
なんとも指導者である先輩はA子さんという女性で筆者より6つ年上です。
筆者は身長が180cm以上あり先輩は150ちょっとの小柄な方、当然介護はバリバリこなす大先輩A子さんでした。
「今日からよろしくね」とありきたりな挨拶に始まり、「とりあえず今日は私に全部付いてきてね」と初めての指令が下りました。
介護の仕事なのに「指令」とか「下る」は変かもしれませんが、介護未経験の筆者はもう厳しい親にでも会ったようなそんな印象でした。
兎にも角にも介護職スタートです。
最初のダメ出しは意外なもの
どちらかと言うと話すことが好きで、よく喋る男だった筆者でした。
これも介護をしてみようと思ったきっかけの一つでもありました。
良かれと思いA子先輩に話しかけ、自己紹介をしつつやっている仕事を一言一句漏らさずメモする。
そんな時間が過ぎていました。
「分かった?」に対して「了解です」とただひたすらに返事をするような、そんな変な構図が続きました。
ある日唐突に
「その返事、『了解』って答えるけどここは軍隊じゃないんだから辞めてくれる?ただでさえ大きい貴方にそんな事言われたら、ここじゃ変でしょ?」と。
また筆者はここで「了解!」と答えます。
結局何を言っているのか、実際のところあんまり耳に入っていなかったのでしょうか。
「それそれ。」となじられました。
その理由を後で理解したのですが、入所者のお年寄りが「気持ちよく穏やかに生活出来ないリスクになる」からでした。
例え新人教育であっても、入所者にしてみればそこの職員は「そんな事関係ない」のです。
それよりも「それまでの生活と変わりなくスムーズに過ごしたい」のが実は一番の願いであり、新人であれ先輩であれ「自分を助けてくれるヘルパーさん」でしかないのです。
高齢者は特に変化を好みません。それはやはり「終(つい)が近づく」ため、穏やかでありたいと思うからでしょうか。
返事一つが、自分として介護職初のダメ出しになりました。変なの。