有料老人ホームでの虐待事例!世間には知られる事がない実話
高齢者、障害者問わず、介護現場での虐待の事件はあとをたちません。
世間ではそういったニュースが出るたび、なぜこんなひどい事件が、と騒ぎになりますが、私たちのように介護業界に長く籍を置いている人間は見解が違います。
命を断たれるような、人格を否定されるような事件に対する怒りや憤慨はもちろんあり、許しがたいことであるとは思うのですが、こんなひどいことがあるのか?という驚きはないのです。
なぜなら、事件として表面化するのは、あくまでも最悪の事態を引き起こしただけであって、実際には氷山の一角でしかないからです。
私は介護業界でたくさんの職種を経験してきました。
そして、それはそれは多くの虐待の事例を見てきました。
その中で、被害の大きかったお話をさせていただきます。
有料老人ホームでの虐待事例
老人保健施設、特養、有料老人ホームとグループホームでの施設経験がありますが、すべての施設で大なり小なりの虐待はありました。
その虐待のほぼすべてが夜勤帯に起きています。
職員配置が一人になる、職員も疲れて眠く気が立っている、何よりも上司の目がない、というのが大きな原因だと考えます。
有料老人ホームといえば、月に20万円は支払いをする施設。
きれいな設備や豪華な食事をうたい文句にしているところがほとんどですが、一番ひどい暴力事件はここで起きました。
被害者は重度の認知症で意思疎通は困難ながら、徘徊がひどい女性。
時には攻撃的になり、手を出すこともありました。介護の指示も通じず、トイレに連れて行くのも一苦労です。
ある日、ケアマネをしていた私が浴室に呼ばれました。入浴介助のために服を脱がすと、太ももに大きなあざがあったというのです。
2、3日たっているあざでしたが、どこかで打ったとも思いがたい場所です。転倒してもここがこうなることはないなと。
本人に問いましたが、もちろんわかりません。いつどこでそうなったのか。
その時は様子をみることにしましたが、おそらくこれは、足で思いっきり蹴られたあとではないかと思われました。
そしてその後も、その女性の髪の毛がごっそり抜けていたり、自分では届かない背中に大きな引っかき傷があったり…。
一部の職員の間では、一人の男性職員が怪しいのでは、とはなっていました。
その職員の夜勤の次の日に怪我が発覚することが多かったのです。
しかしながら証拠がありません。
しかも、人員配置的にその職員を完全に排除することは不可能でした。
さらには、上司にそこまでの危機感はありませんでした。
深く考えずシフトを組んだ結果、その職員が夜勤を担当した翌朝出勤すると、その女性の顔面には、誰がどう見ても殴られたあとがありました。
試合後のボクサーのように殴られたその顔でさすがに大騒ぎとなり、男性職員は事情を聞かれることになりましたが、知らない、転倒かも知れない、他の人の部屋に入って殴られたのかも、と認めませんでした。
そうなると被害者が何も言えない以上、どうしようもないのです。
そして、この女性に何度聞いてみても、やはり詳細はわかりませんでした。
こういった場合、役所に事故報告書を届け出る義務があります。
そのときの事故理由は「転倒」で片付けられていました。
施設も大ごとにしたくなかったのでしょう。
もちろん役所に届けたからといって、誰かが傷の具合を確認に来ることもありませんので、ばれることはありません。
この女性は結局施設の看護師の手当てしか受けませんでしたので、外部の目に触れることもなくこの事件はうやむやになって終わっています。
介護現場での虐待は絶対になくならない
ニュースで虐待の事件を見るたび、おそらく予兆はあったんだろうなと思います。
施設側も、認めてしまえば事件になるので、目をそらし続けた結果が最悪の事態を招くのではないでしょうか。
私が働いていた有料老人ホームでは、その後その男性職員は、無断欠勤を続けてそのまま退職してしまいました。
またどこかで介護職をして、同じようなことをしているかもしれない、それに関してはもうわかりません。
そして虐待を完全に防ぐ方法もわかりません。
ただわかることは、今のままであれば介護現場での虐待は絶対になくならない、それだけです。
さらに、現役介護施設関係者が書いた、本当の話、介護現場であった虐待事例もご覧いただければ、介護現場での虐待は絶対になくならない、という同意見をご覧になっていただけます。