介護への転職で人生が逆転した事例
借金、離婚、アルコール漬けの日常から介護の仕事に就いて、人生が大きく変わった実際のお話があります。
人生逆転ホームランを迎える事になった一人の女性のお話です。
どん底の人生がスタートしたきっかけ
介護の仕事に就くまでの人生はどん底だったと話すKさん30歳女性です。
23歳で結婚したKさんは娘が一人生まれ、28歳までご主人と結婚生活を営んできました。
ご主人も同級生だった事でどちらかと言えば若い夫婦だった訳ですが、残念な事に家庭を顧みないご主人の遊び癖が直らなかったそうです。
特にギャンブル癖のあったご主人は次第に家に帰る回数も減ってきた事で、結局離婚となったのでした。
離婚当時28歳のKさんは親一人子一人のシングルマザーとなったのですが、結婚生活時代は仕事をしていなかった事もあり、中々仕事をしながらの子育てというのは難しかったと言います。
始めのうちはパートをこなしながら子育てに頑張っていたのですが、パート先の女友達と遊んだ事がきっかけで自分もパチンコにハマり、段々とアルコール漬けとなっていったのでした。
結婚時代はギャンブルはおろかアルコールを飲む機会も少なかったKさんにとっては、タガが外れた瞬間でもありました。
そうしていくうちにパートも辞め、子育てを何となく「形だけ」やっていく人生がスタートしてしまいました。
どん底で介護と出会う
Kさんの意変に気付いた両親が児童相談所に相談するのは、そう時間もかからなかったそうです。
シングルマザーである母親が酒を飲み、昼間からパチンコに行くなんてドラマのワンシーンのような堕ち方でした。
孫の将来を考えたKさんの両親が相談に行くのは当然の事だったのかもしれません。Kさん自身の生活再建が始まったのでした。
これが成立しなくては子供の面倒すら見る事を許されない世の中ですから、Kさんは自分の過ちに気付いたのでした。
仕事に就く事がまずハードルであったKさんは、児童相談所のすすめで社会福祉協議会が主催する介護ボランティアに参加しました。
仕事をするためのリハビリを兼ねたKさんにとっては新鮮な時間でもありました。
自分と同じようにシングルマザーが頑張っている介護施設では、バリバリ働くというよりは比較的ゆっくりとした時間の流れで仕事をしています。
数回参加するうちに、ボランティアとしてではなく「この仕事をやっていけそうだ」と、感じるようになっていきました。
介護の仕事を通してわかる人生の意味
ボランティア先の紹介で介護施設での仕事をスタートしたKさんは、その頃にはすっかり子供との生活も再建出来ていました。
介護の仕事をやっていく中で、一人の男性高齢者のお世話をする機会が増えたのでした。
介護には相性みたいなものもあって、介護職員が自然と特定の高齢者と仲良くなる事も多くあります。これは男女関係ありません。
その中で男性高齢者と人生の世間話みたいなものも交わすようになっていきました。
シングルマザーである事を話すと、高齢者は「自分には母親がいなかった事」を明かしてくれました。
話の中で「もし母親がいてくれたらと考える事は多い」と言われ、Kさんは自分の存在の重要さを感じるようになりました。
そしてその自分が仕事をする事の意味を痛感したと言います。シングルマザーであったKさんがいなくなっては、実質娘の人生も終わってしまうからです。
世の中に色々な仕事は数多くある中で、介護の仕事に出会わなかったらこんな経験や考え方の変化は生まれませんでした。
介護を通して人生の見え方が大きく変わる
介護の仕事は一つ一つをこなしていくだけの仕事ですが、その中で「対象者の人生が色々見えてくる」事もあります。
むしろそれを知らなくては対象者に近付く事が出来ない事も多く、対象者の人生を垣間見る事で介護の仕方が変わってくる事もあるのです。
そして「自分の人生が一番不幸とは言えない」経験を教えてくれる高齢者も沢山いらっしゃいます。
人生の先輩が語る経験に勝る説教はありませんし、「実録」である事はその信憑性を高めます。
それがいずれは自分の人生に影響するなんて事は日常茶飯事なのです。
「へー、そんな生き方もあるのか」と考えさせられるだけでなく、失敗談も人によってはたくさん持ち合わせており、実に色々な人生を垣間見る事になります。
自分の人生と照らし合わせてどうなのか?を考える機会が多くなったKさんにとっては、日々の自分の生き方すら見え方を変え、先にある人生のプランも大きく変わったのでした。
介護の仕事自体は「仕事でしかない」かもしれませんが、そこから得られるものはかけがえのない糧なのです。
下の世話をしてもらう程の関係性を持つ相手には、もはや隠すものなど無く感謝の気持ちもあって「あなたには失敗した人生を歩んでほしくない」と本気で思ってくれたりします。
説教にも似た人生話は本気で自分に語り掛けてくれることの方が多く、介護する者とされる者の関係を越えた人間関係を構築出来るものです。
当然大きな経験値も得る事が出来ます。
人生の楽しみすら変えた介護
Kさんは社会経験が少なかったからと後で言いますが、人生における「楽しみ」を知らなかったのでした。
シングルマザーとなった時、その楽しみはギャンブルであったり酒であったり「自分の快楽=楽しみ」でしかありませんでした。
しかし介護の仕事を初めて分かった事は「生きている事の中に自然と生まれる楽しみを見つける事が重要」というものでした。
仕事は仕事として割り切る事も大切なのですが、Kさんは偶然にも介護という仕事を選択しました。
そして介護とは「人とのコミュニケーションが仕事」であり、決して「オムツを交換する事だけではない」のです。
この事に早くから気付けたKさんは、「オムツ交換なんて2の次でしかない」と考えるようになりました。
人と話せる事、人と関われる事、それが介護の仕事であり「楽しみ」だと思えるようになっていたのでした。
介護の仕事を通して娘との関わり方も自然と変わっていきました。
もっと話をしようと。
嘘のような話ですが、実際にあった逆転ホームランの物語でした。
介護の仕事は辛い側面ばかりが目立ってしまいがちですが、実は違うという事はあまり知られていません。
魅力ある仕事はたくさんありますが、その中でも介護は群を抜いて面白い仕事だと言えます。
仕事であって仕事とは感じない瞬間が多く、高齢者の話を聞くことすら介護なのです。
「聞く」という事を意識してやると、仕事と感じてしまいイヤになったりもしますが、高齢者の話とは実践した結果であり、そして非常に濃いものばかりです。
「聞く」→「もっと聞きたい、話していたい」となる介護経験者は多く、仕事を続けている経験者はこの魅力が大きいとも言います。
働く側の人生すら変えてしまう程に魅力ある介護の仕事をしてみませんか?
きっと何かしらの変化と刺激を与え、きっと「介護をしてよかった」と思える瞬間が必ずあります。