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生協の配達員から介護に転職 介護は転職すれば続く仕事ですよ

どもです!シロ@現役の派遣介護士(@kaigosisi)/ Twitterです。
私は無資格未経験で介護士に転職し、老健と特養の2施設で6年働き、今も現役で働いている派遣介護士です。
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筆者の施設で働く訪問介護職員の転職履歴をまとめてみました。

今回は、配達員が介護の世界へ飛び込んだお話です。

介護は転職すれば続く仕事というお話です。

介護職への転職前は20年生協の配達員をやっていた

主婦となった25歳をきっかけに、子育てしながら出来る仕事を始めたFさんのお話です。

丸20年間、地域で休みの日に買い物をしていても声をかけられる程の有名人でした。

Fさんは元々内気な性格で人と関わる機会が少なくて済む、生協の注文配達の仕事を選択したと言います。
20年もやれば内気な性格も変わるようです。

地域でも顔が売れ、時にはFさんが配達をしてくれるなら注文するとまで言われた人でした。

子育てとも上手に両立しながら、配達員のリーダーも歴任してシフト組までやった本当のベテランさんでした。

時には配達した商品のクレームも、Fさんが出る事で配達所の責任者より解決率が高いなんて事もあったそうです。

介護職に転職する前にあった事件

介護とは何か、それは全く興味のないFさんの何気ない疑問でもあったそうです。

しかしFさんは自覚してもいない、非常に近いところで介護の必要性を感じられるところにいたのでした。

ある日いつものように配達するFさんは、常連さんのおじいちゃんの家に向かいました。

「こんにちは、配達です」

何気ないいつもの挨拶に、返答するおじいちゃん。

「いつもありがとう、こんにちは。Fさんが来るから自分が生きている実感がするよ。」

Fさんは社交辞令かと思い、笑顔で会話を数分間交わしました。いつもの事でした。

配達所に帰り、休憩しながらテレビを見ていると「家で倒れていた高齢者を新聞配達員が発見し救急搬送」とのニュースが流れたそうです。

ハッと気付いたFさん、自分も2日に1回のペースで顔を合わせる配達員である事に。

もしかしたら自分もそういう場面に立ち会うかもしれない、そう考えた瞬間でした。
救急時の対応を協議、連絡体制等を整備し始めたFさんでした。
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訪問介護にも通じるサービスを考案→大成功

生協の配達員が今でこそ「ちょっと家事サービス」と称して、ワンコインで何かついでにしますよとお助けサービスを展開しています。

Fさんはその走りとなるサービスを思い付き、配達のついでにどんなニーズがあるのかを聞いてみました。

配達先を色々考えてみると、その多くは「一人暮らしの高齢者」である事に気付きます。
「テレビの位置を動かしてほしい」
「買物がついでにあるけど、生協さんは取り扱っていない」
「リモコンの電池を入れ替えたいけど、そもそも型が分からないから買いようが無い」
「杖を買いに行きたいけど、どれを買えばいいのか分からない」
など、普通に暮らしていれば問題とは思わないそんなニーズがたくさんありました。

これらを出来る範囲で配達のついでにやってみたのでした。

すると配達の注文は瞬く間に多くなり、大盛況となったのでした。

配達員から介護職に転職を決めたきっかけになった事

困った事を助ける仕事、それはいったい何なのか?
元々配達員の仕事も「困った事」に対して存在する仕事であり、買い物に行けない人に向けたサービスです。
1人暮らしの高齢者が生活出来ているのは、「生活前にある程度その環境が整備されている」ためです。

でも生活しながら新たに出てきた問題に対して、対応しきれていないというまた違った問題が起こっているのでした。
そして配達員としてのFさんはその問題の非常に近いところにいて、ニアミス状態だったのです。

地域でも有名人だったFさんは、当時いくつかあった介護施設が吸い上げ切れていない問題を見つける事になったのでした。

そして介護予備群とされる高齢者がいて、その人たちも問題を抱えている事が浮き彫りになったのでした。
配達員だけでは気が済まなくなったFさんは介護の世界に飛び込む決心をしました。

訪問介護員(ヘルパー)の存在を知る

当時から「ヘルパーさん」と呼ばれる仕事がある事は知っていました。

しかし、その中身を全て熟知しているかと言うと、それは自身の無い人が多いでしょう。

派遣された家では何でも出来るというイメージも多く、実はそうでもなくて実際の中身を知って落胆するというケースもあります。

便利屋とは違うヘルパーという存在です。

さらに「ヘルパーを呼んでいると周囲に知れたくない」と考える人も少なくありません。
「何も出来ないから助けをもらっている」というのは、昔の日本人にはあまり誇れることではありませんから。

Fさんは自分の地域にもヘルパーさんがいる事を知りました。そして、そのヘルパーさんが活躍出来る場がもっとあるのでは無いかと考えました。

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介護保険という枠を型破りな方法で緩めていく取り組み

Fさんは自分の強い意志で介護の世界を目指したことから、その入り口となる介護初任者研修でそれ以上の事を学びました。

介護保険の仕組みや煩わしさ、でもその中でしか出来ないヘルパーという仕事。それらを何とかしたいと考え筆者の施設である訪問介護事業所に入職してきました。

入職前から地域で有名な配達員であった事から、訪問介護事業所でも名前が知られていました。仕事に慣れるのは早かったです。

毎月の定例会で発言を求めると、
「介護保険の対象とならない高齢者がたくさんいる、しかしその高齢者も困っている事がある」

と、前職で得た情報を提言したのでした。個人情報と隣り合わせとなる、危ない部分もありましたが。

当時も今も介護保険は基本的に受け身であって、こちらから「困り事はありませんか?」と営業まがいのスタイルは出来ないのです。

こんな状況でFさんの情報は大きな種となり、それが芽を出すのにそう時間はかかりませんでした。

地域の福祉ネットワークすら揺るがす事態

地域的に見ても田舎であった事から、どちらかというと閉鎖的な場所でもありました。

介護なんてデイサービスに行くというのがほとんどで、ヘルパーなんて呼ぶと「障害者と思われる」みたいな間違った認識すらありました。

そんな理由から「頑張っている高齢者」が非常に多く、一歩間違えば生活が上手く回らないリスクすら抱えている高齢者が多かったのでした。

地域には民選委員と呼ばれる「近所の相談役」がいて、施設がその方への働きかけ方を変えてアプローチしてみたのでした。
「介護とまでは呼べないが、何か困っている事がある高齢者はいないか?」
こう聞くと出てくる出てくる問題の山。

介護保険で解決出来る問題は無いか?そんな有り得ない話し合いから始まったのでした。

「困っている→これまでのようには生活出来ない」とまでは繋がっていなかった。
そもそも困っている事が起こるのは、これまでのようには「何かしらの理由で生活出来ないから」である訳です。

場合によっては車が運転出来なくなったから、買い物にも行けないしお店の店員にも相談が出来ない、だからリモコンの電池すら買えないという事なのでした。

介護保険は妙なもので、訴えがあるか見た目で明らかに必要と判断されなくては利用出来ない側面があります。

これはシステムの都合で仕方のない事ではありますが、なんとも非常にかゆいところに手が届かない状態です。

でも実際に困っている事をもっと詳しく掘り下げ、分類される事は少ないため、掘り出してみると「意外と介護保険で何とかなる」事もあるのです。

Fさんは施設と協議して民選委員から依頼があったとしてもらえないか、そんな話を始めました。

実際に民選委員も知っている問題も数多くあり、改めて施設に対して相談をしてくれました。

配達員が見た困り事と介護保険から見た内容では異なる

税金を使ってやっている以上、「そのぐらいは自分で何とかして」と思われてしまう問題は数多くあります。
一例ですが、それが今回の「リモコンの電池」でした。

以前は何のことは無くリモコンの電池交換が出来ていましたが、それは「リモコンを電気屋に持っていって電池を選んでもらえた」からでした。

物事をこういった見方に変えると、実は何が足りないのかが見えてきます。

介護保険でリモコンの電池は対応出来ませんしそんなの不可能ですが、何故それが出来ないのかを見つめなおすと解決出来たりするものなのです。

Fさんは配達員の目線と、ヘルパーとして介護保険を知った上での見方を出来る事で解決に導いたのでした。

結果この問題は「買い物が出来ず生活の質が低下している」と判断出来たことで、介護保険の該当となり買い物をヘルパーがするというサービスに繋がったのです。

生協での買い物は無くなってしまいましたが、このおじいちゃんの生活の質は確保されたのです。

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名も知らないヘルパーさんよりも気兼ねなく依頼出来る心理

介護保険であり税金で賄われている事業であっても、ヘルパーさんが派遣されてきてその人が見ず知らずの人であればどうでしょう。
やはり真意に近い部分の本音は語りにくいものです。

今回のFさんみたいな転職は、結果として地域に密着していたこれまでの仕事が活きた非常にレアなケースかもしれません。
しかし中にはずっと地元で同じ仕事をしてきたという方もいらっしゃるでしょう。

キャリアの年数にもよりますが、顔が売れているという事はこんなケースで転職も可能なのです。

介護の仕事には「不公平が無いように、知り合いか否かは関係なく」というのが前提としてあります。

そのため介護現場によっては、利用者と介護する側の人間が全くの他人という事はよくあります。

地元かどうかすら関係無いのです。

でも人間心理として「顔見知りでもない人に悩みなど言えない」という感覚があり、こればかりは仕方のない事です。

こう言うと地元以外の人間が働きづらいのかと捉えられがちですが、実際ヘルパーさんの多くが地元出身者というのも実情なのです。

Fさんはそういう意味で、それまでのコネクションを最大限に活かした転職となりました。

転職のケースには様々なパターンがあり、また前職も本当に色々です。

しかしどういった前職から転職しようとも、介護の仕事を続けている人の話を聞くと「介護をしてよかった」と言う方が多いですね。

何故かは的確に言えませんが、やはり介護を続けるからには「それなりの前向きな理由」があるようです。
そして皆が共通した理由に「コミュニケーションが面白い」と考えています。

やはり介護はこれありきなのでしょう。
転職先は数あれど、「転職後に続く仕事としては随一」なのが介護の仕事だと言えます。

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      2016/12/25

 - 介護 転職