女子高生と机を並べて介護研修
介護職への挑戦!介護人として生きていく~入門編~
介護人として介護員から管理者、果ては講師まで経験してきました。色々な観点から見る介護職入門について書いてみました。
今回は筆者の入門の頃の事例から、介護について少し考えてみましょう。
女子高生と机を並べて介護の講習
介護保険が導入されたのは平成12年です。この頃は当たり前のようにあちこちでヘルパー講座を見かけました。
そういう筆者もこの波にのってヘルパーを受講した一人でもあります。少し気恥ずかしい気持ちで老若男女肩を並べ講義に聞き入っていました。
そんな時、偶然私の隣に座ったのが高校生の女の子でした。名前も憶えていませんが、その後介護業界で頑張っていると聞いたのはいつだったでしょうか。
当時も「資格がものを言う時代」とは言われていました。でもそれは「技術系や国家資格」の事と思っていた私には衝撃だったのを覚えています。
その頃筆者は、介護をしたいという気持ちはあってもそれまで特に何かやりたい事も無く、仕事もせず何とか見つけたのがヘルパー講座でした。
そんな自分でも「祖父母の面倒は見なきゃいかん」という初孫としての気持ちが大きく、そして志を見つけた時でもありました。
お金さえ払えば受講出来る、そんな広い入り口にすがった自分と高校生で将来を見据えて受講しにくる女の子とでは実際大きな勘違いがあったのかもしれません。
介護が受け入れられる時代になったのは何故か?
ここまで「介護の仕事は身近になった」と書きました。でも疑問は残ります。それは「何故身近に感じられるようになったのか」です。
これは、その当時の高校生のY子さんに聞いた話も交えて説明します。
当時筆者は21歳、社会に出て3年というところでした。
少し時期がずれY子さんは高校生でした。
Y子さん曰く「高校の授業で介護をテーマとするものが多いですよ」との事でした。筆者の頃もそうであったのかもしれませんが、正直よく覚えていません。
ですが調べてみると、国が平成12年に介護保険をスタートして筆者が受講したこの頃が平成15年でした。
ヘルパー講座の受講テキストも国の方針からしっかり出来上がっており、本格的に国全体の介護従事者を増やそうと計画した時期でもあります。
従って本来結びつきそうにない「若者と介護」を、あえて中高生の指導要領に組み込む事で、結果としてその後の大人は「介護は当たり前」という考え方になってきたのでした。
上手く術中にハマった?のかもしれませんね。
入り口は広く、継続は困難を究める介護職
今では介護の仕事というものはハッキリ言って「簡単に始められる仕事」である事は明白です。
実際多くの求人が出ていますし、この業界だけは求人が目に入らなくなる事は無くなってきています。
新聞、ハローワーク、求人情報誌まで実に多くの媒体に「介護求人求む!しかも急募!」なんて書いてあります。
という事は、仕事自体は始めやすいと言えるようになった訳です。無資格でいつまでもと働けるとは言いません。
事実ヘルパーが廃止され代替資格となった今でも、とりあえず「お金さえ払えば」受講できる資格となっています。
入り口がこんなにも広い、むしろ大歓迎とも取れる介護職です。でも何故「相も変らず求人が絶えない」のか?それは高い離職率にあると断言出来ます。
継続が難しい仕事であるという事です。
続けるのが難しい介護という仕事?
では何故離職率が高いのでしょうか?「お給料が安いし、大変!」なんて、今の会社どこでもそして必ずそこで働いている誰かが常に思っているでしょう。
介護も同様ですが、さらにこれには深い事情が絡んでいます。
前述の通り筆者もそうですが、介護を目指す人間は「何かしら介護に興味を持って」選択してきます。
お給料が安い事に加え、仕事が辛い事もある程度若しくはそれ以上に「分かっていて」それでも入職してきます。
それ以上にやはり「人の役に立ちたい」という想いが大きかったりするケースが大半でしょう。
ですがいざ働き始めるとそれまでの想いとは逆に「全ての仕事が雑用に感じる」程、雑多な仕事に追われます。
介護の仕事は雑用的な事が多い
なんだこれ?と思う方も少なくありません。筆者もそうでした。
この時「自分が目指した目指した道だから」をどれだけ強く思い返せるかがカギになってきます。
受講して資格を持ってやって来たとは言え、所詮は初心者です。
現場でオムツ交換や食事介助など具体的な介護をさせてはもらえません。
「お年寄りと笑いあってお茶を飲む瞬間」なんて当分訪れません。
こんな場面を一瞬でも思い描いてきたはずです。大変な仕事である事は分かっていたはずですから。
介護の仕事が続く人、辞めていく人
施設の教育方針にもよりますが、初心者介護士がまずさせてもらえるのは利用者の洗濯物を処理したり、ただひたすら先輩に付いて回ったりといったところです。
そんな時間がある程度は続くでしょう。
その時、お給料の安さより「自分の思い描いていた介護」を忘れてしまいます。そして辞めていきます。
いわゆる「理想」かもしれませんが、これは長く介護をしている方も掲げる永遠のテーマかもしれません。
早い人は仕事開始の午前中で辞めた人もいました。貴重な人材がまた一人減っていく瞬間です。