ボランティアと介護をプロとしてやる人の違いとは
介護のきっかけにボランティアを経験して、という人は多いと思います。
人が嫌がる仕事であっても、ボランティアとしてなら関われるからでしょう。
実際に「仕事としては続かない」と考える人がたくさんいます。
ボランティアとは違う介護のプロとしての仕事について考えてみます。
ボランティアに来る理由は様々
私が勤めていたデイサービスにも、頻繁にボランティアさんが来ていました。
理由は様々で経験してみたいだけの人、学校の単位として含まれている等でした。
中には興味本位でボランティアを申し込んだ人がいました。
地域に住む20代の当時ニートだった女の子Iさんでした。
やる事もなく、介護の世界でも覗いてみればと親の勧めもあり、簡単なお手伝いに来てくれました。
介護のプロとして見えた仕事
デイサービスにボランティアで来るというのは、その大半がお茶出しやレクリエーションの補助が関の山です。
トイレに行って介護するなんて衝撃が大きすぎます。
この辺は介護の業界全体がそんな感じを言わずとも持っていたりします。
そして何よりそんなシーンは「介護を嫌い」になってしまうからでもあるのです。
Iさんは何気なく目にしたトイレでの介護を見てビックリしたのでした。
同年代の女性介護士がおじいちゃんの世話をしていたところを目撃したそうです。
自分と歳の変わらない女の子が男性の陰部を何食わぬ顔で介護している、プロとしての顔を見た瞬間です。
受け入れる事が出来ない介護の仕事
しかしボランティアとして来ていたIさんは、「その光景」を受け入れられなかったのです。
どうしても汚いとか、恥ずかしいといった感覚が否めないのでした。
経験者である私からしても、決して「どうもない」訳ではありません。
仕事でしかなく好きで出来るか?と聞かれると、「仕事だからする」と答えるばかりです。
介護とはそもそも何かを考えると?
仕事だからやるという考え方でいると、いずれは「やりたくない」という気持ちに陥ります。
特にトイレのお世話なんて、汚いし臭いしと考える事しかしなくなります。
実際に足が遠退く事が無かったか?、それは当然私にもありました。
でも介護とは「自宅で生活出来ない何かの理由」があるから必要で、その大半以上が「トイレの問題」を抱えているのです。
それを補うのが介護→トイレは切り離せない→慣れるしかない?かもしれません。
悔しいけど?慣れてしまうトイレのお世話
しかしボランティアを続けるうちにIさんは慣れていく自分に気付いたそうです。
同年代の介護職員を見ていてトイレのお世話内容を聞いていくうちに、「それぐらいなら自分にも出来るかも」と思ったのです。
まだ未経験であるにも関わらず1週間もしないうちにIさんはトイレで介護する事ができるようになりました。
ボランティアで仕事の疑似体験が出来る
介護の仕事は「自分が突っ込むかどうか」で、出来るようになってしまいます。
生活の補助というのは意外と難しいものではなく、何となくでも目にしていたりするのです。
実践すると構えてしまうので難しいかもしれませんが、やるとそうでもないという意見が大半です。
Iさんはそのままデイサービスで働きたいと考え、ニートから介護士に就職しました。
我慢してやる事が介護のプロではないのです。勘違いされやすいのですが。
「その(仕事の)意味を見極められたうえで介護する」のがプロなのです。
我慢なんていずれ限界がきます。
確かに汚いとかいう問題はいつまでも解決はしません。
実際に介護の仕事でイヤな事ベスト3に入る仕事が、トイレのお世話ですから。
トイレのお世話さえなければ介護出来る、という意見も多く聞きます。果たしてそうでしょうか?
高齢者となるとお風呂でも食事中でも排泄してしまう事があります。
介護全般において「トイレ(排せつ)の対応が出来る」必要があるのです。
何も取り立てて「トイレのお世話だけ敬遠」する必要もなければ、成立もしません。
ある種腹をくくって、そして慣れていく流れでも介護は出来てしまいます。