介護へ転職体験談 元化粧品販売
介護業界への転職は珍しい事ではありません。
私の施設にも実に多くの転職者がいらっしゃいます。
介護業界へ転身して1年あまり、27歳Fさんの事例をご紹介します。
商業施設で販売員という前職から介護の仕事に転職
Fさんはいわゆる化粧品コーナーの販売員でした。
単なる販売員ではなく、お客さんに化粧品の使い方まで案内するビューティーアドバイザーです。
毎月の販売ノルマは意外にもあって、結構きつい仕事だったのでした。
別に悪い事をしていた訳じゃない
仕事がマンネリしていたのもあってか、ノルマのために売っている事に疑問すら感じていたFさん。
自分が化粧品に興味を持って、お客さんのために売る仕事と考えてきました。
しかし結局は「ノルマのため、自分の給料のため」でしかないのではないか?と考えるようになったのです。
介護のお仕事に転職して他利の仕事を
販売と言えば、利益追求でしかなく「他人のため」なんて結びつかないかもしれません。
決してそんな事はありませんが、ノルマというものがついてきてしまいます。
でも利益ばかり追う事をせず、他人のためになる事に「専念出来る仕事」を目指して介護への転職を決意しました。
Fさんは介護初任者研修の門を叩きました。
偶然老人ホームで見かけた訪問化粧のイベント
研修中に老人ホームで偶然見かけたのが、半年に1回ある「訪問化粧」でした。
介護を受けるようになって女性が化粧をしているなんて、中々見られない光景です。
老人ホームに入っていると益々女性らしさが無くなるのも別に不思議ではありません。
「生きる事だけ」が優先され、女性の喜びにもあたる化粧が皆無なのです。
これを見たFさんは、自分の経験が活かせるのでは?と考え一所懸命に受講に専念しました。
介護の仕事に転職して再スタート
Fさんは「利益追求を考える必要がない他人のためになる仕事」に、熱い想いを話して介護のお仕事に転職してきました。
スタートから半年後、各自がやってみたいイベントに「定期で化粧を援助する」というものが挙がってきました。
当然提案者はFさんです。
「彼女の思う介護」がスタートラインに立ちました。
猛反発だった化粧イベント
しかしながら化粧をさせるなんて、施設内各所から反発が出るばかりでした。
介護をする事で手一杯の施設におけるイベントなんて、せいぜい運動会や敬老会がいいところです。
まして定期的に化粧をする時間なんて、そして必要か?とまで意見が飛び交いました。
この時、この効果を知っているのはFさんひとりでした。
反響や効果は家族から
老人ホーム内において入所者に化粧というのは、当時あまりにも奇抜な発想でした。
でも確かにこれを喜ぶ人もいて、その家族から感謝を頂く事もあったのです。
次第に「外出時の身なりを整える」という、一連の介護として定着してきました。
入所中の親を一時的に外に出す事は、家族として負担でもあったりします。
しかも「いかにも入所中」という雰囲気が敬遠され、結果本人さんの外出機会が減ってしまいます。
この辺が上手くマッチして、今では「良い取り組み」として施設内で常習化しています。
介護の仕事に転職してきた人が介護施設に花を添える
転職者の経験は、介護施設内では得ることの出来ないものばかりです。
そしてそれらは活かすことが出来ます。
化粧という何気ない事かもしれませんが、結果入所者のためとなったのです。
自分は介護経験が無いからと介護を遠ざけてしまう人は多いようです。
でも「生きる」事に即す介護の仕事は、意外にも役立つ経験となる事が多々あります。
物怖じせずに介護の仕事に転職してきて下さい。