未経験で介護やるなら先輩の事例を見よう!自衛隊員からの転職事例
介護へ転職事例 元自衛隊員の場合
私がいる老人ホームへの転職を果たした人の中に、自衛隊を辞めてという人がいます。
姿勢も髪型もキチッとしているIさんのお話です。
国のために働いてきた中で感じる事
陸上自衛隊に18歳で入退したIさんは13年間、真面目に働いてきた一徹の男性です。
別に戦争に行くとか、そんな話ではなく自他ともに守るために自衛隊に身を置いたと言います。
豪雨による復興で訪れた先で、おばあちゃんをおんぶする自分がいました。
Iさんは初めて介護に触れた瞬間でした。
復興という大きな意義ではなく、間近に感じたそうです。
もっと近い距離で人を助けたいと考えるようになりました。
自衛隊を辞めた理由
訓練が大事というのは十分に分かっているのですが、何もない時の自分が非常にやるせなかったそうです。
元々心優しい自衛官だったIさんは、有事の際だけでなく常に人を助けたいと考えていました。
介護を含め、どんな時でも困った問題は社会に起こっている、でも動けない事に嫌気が差したそうです。
在隊中にヘルパーの資格まで取得して退職しました。
介護への転職
私のいる施設は理事長が元自衛隊さんという事で、二つ返事で入職してきたIさん。
最初はガチガチの兵隊さんみたいに大きな返事で仕事をしてくれます。
入所者も次第に「新しい人が入ってきた」と気付き始めます。
ある時、彼なりのコミュニケーションだったのか、入所者の部屋で軍歌を熱唱していました。
戦時中を経験している入所者にとって、彼は非常に人気者になっていきました。
ルールを軟化出来ない性格
介護とはルールがあって、それを現場に上手く変化させてやる必要があります。
前職の硬さから、どうしても「柔軟さ」に欠けてしまっていました。
介護へ転職して5年ですが、未だに硬い部分もあり彼自身奮闘しています。
夜勤では彼の事が「怖い」と、クレームに繋がった事もあります。
レクレーションでは人気者
高齢者が行うレクレーションというのは、せいぜい歌が精いっぱいだったりします。
しかしココで本領発揮するのが、Iさんという硬い人間です。
ちょっと面白いのですが、入所者の中には「元軍人さん」という人もたくさんいます。
言ってみれば自衛隊の先輩なのです。
Iさんの立場からすれば「先輩命令は絶対」なので、入所者が言えば何でもしてくれます。
彼なりの前職での経験が活きる場面となったのです。
介護福祉士を取得しない
経験もある、知識も備わってきた、それなのにIさんは介護福祉士にチャレンジしようとはしません。
彼いわく「まだ一人前ではない自分は介護福祉士をもっと理解してから受験したい」との事です。
彼らしいと言えばそうですが、確かに介護福祉士は取得だけで一人前とは言えないでしょう。
お堅い彼の言う事ですが、この発言は施設内のシステムに一石を投じる事になりました。
介護福祉士の襟を正す
自分の立場をわきまえる事に対して、抜かりの無いIさん。
それを見た既にいる介護福祉士は、自然と厳しい仕事になっていったのです。
介護福祉士とは、学卒で最初から取得している人もいます。
悪い事ではありませんが、若輩者という事からどうしても人間的にまだ未熟なのです。
こういった「若い介護福祉士」に対して、Iさんのポジションは身の引き締まる思いでしょう。
彼がいると職場が気持ちよくキビキビしています。
いつか彼自身が介護福祉士を受けてくれる日が来ると考えますが、まだまだ時間はかかりそうです。
一人前とはどういう事を指すのか?これは介護主任である私も疑問の日々です。
介護の現場はこういった「多様な人間」で構築される方が結構うまくいきます。
自衛隊員からの転職者もうまく介護になじみました。
あなたも今までの経験が介護士になった時に活きて来るという事がきっとあると思います。
これから介護職に転職しようかな、と、ちょっとでも思う方は、ぜひ一度やってみて下さい。
介護の仕事は難かしい仕事ではありません。
きっとうまくいくと思いますよ。