40才男性福祉用具専門相談員の事例
これから介護業界で働きたいと考えている方に、今現在、介護系の資格をお仕事に活かしている方の事例を紹介します。
介護の資格を取っても、介護職だけが就職先ではありません。
福祉用具プランナー、介護施設初任者研修(ホームヘルパー2級)、福祉住環境コーディネーターの資格を持たれている方の事例です。
谷山さんは、福祉用具の販売、レンタル、住宅改修などを手がける会社に勤務して、福祉用具の相談や営業業務に携わっておられます。福祉用具業界に入って18年。福祉用具一筋という谷山さんに、福祉用具に関わるきっかけや、仕事の内容、やりがいなどを聞いてみました。
この仕事をするようになったきっかけを教えていただけますか。工業高校を卒業後、医療器械卸の会社でアルバイトをしていたところ、その会社が福祉用具を扱うようになったんです。興味を示したら、じゃあやってみるかと言われて社員にしていただき、福祉用具の営業や相談業務を担当するようになりました。
それ以降、会社は何度か変わりましたが、ずっと福祉用具の仕事をやっています。
この方の場合は40代で、他業界から介護業界に転職したわけではなく、ずっと介護福祉関係の用具の仕事で転職をしてきています。
業界を一つに絞って、専門分野を持つっていう事は大切ですね。
福祉用具の仕事ってどんな感じなの?
福祉用具の仕事というと、実際にはどんなことをやるのでしょうか。最初の頃は、病院や介護施設に出向いて新商品を紹介したりして、営業活動をしていました。介護保険が始まってからは、介護保険で福祉用具を利用できるので、ケアマネジャーさんの紹介で在宅の方の相談に乗ることも増えました。
在宅の方の相談では、どんな商品があって何を使うとよさそうか、どのように使うのか、制度はどうなっているかなどを、できるだけわかりやすく、気を配って説明しています。
福祉用具って車いすをはじめとして、おむつもそうですし、細かいところですと車いすを改造するパーツなんかも福祉用具に含まれます。
実際のご利用者さんの立場に立って考えないと、どういう用具を必要としているかはわからないですかね。介助食器一つとっても、その人の現状に合わせる必要があります。
相談の仕事をするときに気をつけていることはありますか。
身体の状態だけでなく、生活をする住環境を把握することですね。ご本人とご家族など周囲の方との関わりや、それぞれどんな意見を持っておられるかといったことにも気を配ります。経済的な問題も重要です。
介護用品って高いですからね。
基本的に相手の資産状況も考えて、その範囲の中で考えて提案する必要があります。これは介護の営業だけに限ったことではないですが。
それから、どれだけ物がよくても、それを使うかどうかを選ぶのは、ご本人の意志ですから、押しつけにならないように、言葉選びや話の順序には特に気をつけています。
この方の場合、営業屋としてのスキルを磨かれていったのですね。
この人のケース、今までに営業をやってきた、っていう人に本当に見てほしいと私は思っています。
これまで営業をやってきた人が介護職に転職しようと考えている場合、これまでの営業の経験が活かせなくなります。
それって、給料面でも、あなたご自身がされる苦労面でも、決してよくない、遠回りです。
ですので、営業をやってきたご経験があるのでしたら、まず福祉用具プランナー次いで、介護施設初任者研修の資格を取って、これまでのご自身のスキルを活かした再就職を目指す、というのがいい方法だと思います。
福祉用具供給事業従事者研修
この福祉用具供給事業従事者研修修了者は、現在、福祉用具専門相談員として認められています。
介護保険制度前は「この資格がないといけない」といった規制はなかったのですが、他社も含めて、福祉用具を扱う人は、ほとんどこの研修を受けていました。
現在は、介護保険で福祉用具を扱う事業所には、一定割合で福祉用具專門相談員がいなくてはならないことになっています。
そのためか、入社すると、すぐに会社の指示で取らせることが多いようです。
その他、福祉用具選定士認定研修、可搬型階段昇降機安全指導員講習、リフトリーダー養成研修、福祉用具プランナー研修などが福祉用具の営業を目指す人に役立ちます。
資格を取るというよりも、研修を受けて勉強することが多いのでしょうか。
そうですね、ただ、資格をもっていることに、意味がある場合もあります。たとえばホームヘルパー2級を取ると、福祉用具の実務経験でケアマネジャーを受験できるんです。それで、2002年にはホームヘルパー2級を受講しました。動機は少し不純でしたが、ホームヘルパー2級(現在の介護職員初任者研修)は福祉用具の主要な使い手なので、受講したことは仕事をする上でとても勉強になりました。
残念ながらケアマネの試験には1回落ちて、それきりなのですが、最近、必要性を感じているので、近いうちに取りたいと思っています。
それから福祉住環境コーディネーター2級は、介護保険でケアマネジャーの代わりに書類を作成できる場合があって、持っていると便利な資格です。
賢い介護業界とのかかわり方
介護系で働く人にとっては、ケアマネ資格っていうのはホント、のどから手が出るほど欲しい資格です。
今はケアマネ資格があっても、ケアマネ職に就くのが難かしい状況になってきていますが、それでも、苦しい介護現場から、涼しい事務所で事務をやる仕事っていうのは憧れて見えるものなのです。
福祉用具の実務経験と、介護職員初任者研修によって、ケアマネを取り、それを活かしていく場を見つけて働くというのは、非常に賢い介護業界とのかかわり方だと思います。
このお仕事をされて、よかったなと思うことはありますか。
福祉用具はまだまだ発展途上で、現場のアイデアや発見が活かせる業界です。自分がメーカーに提案したものが商品化されたりすると、非常にやりがいを感じます。
これは本当にそうなんです。私は今介護現場で働いていますが、たとえば車いす一つとっても、座る場所がすぐにへたってしまってその部分だけ丸くなってしまって、高齢のご利用者様の体が曲がってきてしまったりとか、福祉用具って、まだまだ潜在的な要望、改善のしどころがたくさんあるのです。
福祉用具屋としての喜び
一番いいのは、人から感謝されることが多いところでしょうか。普通のサービス業では、「ありがとう」と言ってもらえることは、なかなかないですよね。利用者の方に「あなただから頼みたい亅と言っていただいたりすると、本当にうれしいですね。
仕事の中で、役立つ実感があって、やりがいにつながっていくっていうのは一番いいですよね。
数ある用具屋さんの中で、選んでいただけてありがたいと思います。でも、選んでいただくためには、こちらも知識をしっかり身につけておかないといけません。それから、福祉用具の仕事は人とのおつきあいなので、いろいろな方と出会い、人間として成長できるんです。ときにはしかられることもありますが、日々人生の勉強をさせていただいています。
福祉・介護の資格と仕事 やりたい仕事がわかる本 梅方 久仁子 (著) 技術評論社より抜粋
最後に、福祉用具系の仕事をしたいっていう場合には、普通に求人を探すよりも、介護系の人材を斡旋、コーディネートしている人材会社に相談して、そういう職場を紹介してもらうのがいい方法だと思います。登録も無料で、キャリアカウンセラーが30代、40代の方でも、これまでの営業経験を活かせる仕事を紹介してくれます。
以下ページで詳しくお話してますのでよかったら見てみてください。
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