介護の仕事のココがツラい！認知症の人の問題行動　介護講師が解説！

介護未経験者は介護の知識や技術を習得しても、認知症介護についての知識に乏しいことが特徴です。

そして認知症の特徴を知らないあまり、就職後に精神的負担を受けてしまう方も少なくありません。

しかし、認知症利用者の特徴、問題行動を知ることで安心して認知症利用者と接することができます。

また、認知症利用者の言動が分かることで傷つくことなく利用者理解をすることもできるでしょう。

今回は介護未経験者へ認知症利用者の特徴についてお話したいと思います。

この記事を読んで認知症を理解し、ぜひ就職に役立てて下さい。

介護の仕事でツラい部分！問題行動に悩まされる…いなくなる

介護の仕事で認知症の老人を見つけられなくて泣いてしまった話です。

通所系でも施設系でも言える事ですが、事故の中で怖いものの一つに離棟があります。

これは、ふとした調子で施設から自宅に帰ったり、全然違う場所に出ていってしまう事です。

あるアルツハイマー型認知症の方Aさんがいました。

私が送迎から戻ると、レクリエーションが始まっていたのですが、Aさんの姿が見当たらず職員に尋ねると「あれ？どこ行ったかな？」と捜しはじめました。

施設の出入り口にはいつも職員が窓口としているのですが、この日に限って職員が不在でした。

この日は35℃以上の酷暑日で、とても暑かったのを覚えています。

すぐに車で付近の捜索と警察への通報、民生員及び協力病院・家族へ連絡しました。

２時間後、A病院から特徴に良く似た人がバス停にいますと連絡があり、すぐに駆けつけると汗だくのAさんを発見しました。

Aさんの自宅は施設から１ｋｍもなかったのですが、発見された病院までは５ｋｍあり、しかも自宅とは全く正反対の場所でした。

自分の家族や生家を目指したのかな？と思い、その方面を重点的に探していたのが無駄足になりました。

おそらく私が送迎に出た後、施設から出たと考えられました。

この事を元にして施設の自動ドアの電源をＯＦＦにするようになりました。

これは施設利用中に起きたことではないのですが、近所の方が施設に来られ「いつもの散歩に行った妻が散歩から帰ってこない。３時間もかからるのはおかしい」と言われました。

この方をＢさんとしますが、基礎疾患としてアルツハイマー型認知症を患っていました。

Ｂさんは毎日の日課として、早朝にコーヒーを淹れてから１時間の散歩に行かれるのですが、この日は夫と食事の喧嘩をして怒りながら家を出たそうです。

夫はいつもの事だと思いそのまま放置していたとの事ですが、あまりにも帰ってこないとの事で相談に来られました。

この時は正月開けて早々の出来事でした。さっそく普段の散歩コースや自宅、生家や親せきの家など、前回の事も教訓にまったく正反対の場所も探したのですが結局見つからず、次の日橋の下から冷たくなって発見されました。

本人の自宅は施設から徒歩２分の所でしたが、発見された場所は４ｋｍ離れた場所で、しかもその場所は私が車で通った場所でした。

もし、私が車から降りて橋の下を見ていたら助かっていたかもしれないと悔しくて自分を責めましたが、家族からは「探してくださってありがとうございました。皆さんのおかげで妻は帰ってきました」と言われた時は、人目をはばからず泣いたことを覚えています。

介護の仕事でツラい部分！問題行動に悩まされる…食べられない物を食べる

介護就職をすると信じられない光景を目にします。それは利用者がティッシュや花びらなど身の周りにある物を口にしようとするのです。

これは食べられない物を食べてしまう「異食」という認知症症状です。

異食は口に入れられる物なら何でも食べてしまうため窒息する恐れもあります。

また、異食は放っておくと自分の便も食べてしまうため注意が必要です。

多くの認知症フロアでは異食行為者の窒息事故防止に物を置かないように配慮しています。

それでも衣服の糸をちぎって口にしたり食べられそうな物を口にする可能性があるため注意が必要です。

異食行為をする利用者を見てもそれは認知症の症状なため驚かないで下さい。

本意とは関係なく行っている行動なので行動を静止するよりも他のことに意識を向けて忘れてもらうことが大切です。

認知症の症状は軽減することがあっても改善することはないため長い目で付き合っていくことが大切です。

介護の仕事はツラい！認知症の人は周囲の物を収集する

認知症行動で有名なのが周囲の物を収集するという「収集癖」です。収集癖は字の通り、周囲にある物を構わず収集していくことです。

この症状を知らない方は憤りを感じるかもしれませんが、収集癖は認知症の症状なので安心して下さい。

収集癖は利用者本人だけでなく周りの利用者にも迷惑をかけます。物を取られて怒らない利用者などいません。

他の利用者が巻き込まれないためにも収集癖のある利用者へはしっかりと見守りを行うことが大切です。

場合によっては利用者とトラブルにもなるため、居室や座席を離しておく必要もあるでしょう。

収集癖を持つ利用者は自分の行動が正しいと思って行います。

そのため、ただ注意をして物を取り返すのではなく気をそらしている間に回収することが大切です。

収集癖のある方は収集した物を自分の物だと思い込んでいるため取り返そうとすると感情的になってしまいます。

取られた利用者の気持ちもありますが、「自分の物を取られた」という認知症利用者の気持ちにもなり、思いやりのある行動をすることが大切です。

介護の仕事がツラくなるような問題行動を利用者さんはします！被害妄想編

被害妄想は誰もが知っている言葉ですが認知症利用者も症状として現れることがあります。

例えば、似ている衣服を着た利用者がいると「あいつは私の服を盗んだ」と言い張ります。

言葉で説明しても納得いかないため、実物を見せたり相手の服の名前を見せてもらったりして証拠を確認させることが大切です。

症状にもよりますが証拠があれば大抵の方は納得します。

ですが、被害妄想は認知症の症状なので数分後、数時間後に同じことを訴えてくる可能性もあることを覚えておきましょう。

被害妄想が進むと周りの利用者へ暴言をはいたりし、人間関係まで悪化してしまいます。

症状が顕著になる前に場所を変えて気を紛らわせることも大切です。趣味やお手伝いをしているうちに自然と症状も消失してくるでしょう。

介護の仕事のココがツラい！認知症の人の問題行動　介護講師が解説！　まとめ

認知症利用者の症状を知らないと非常識という印象を抱き利用者を非難してしまいます。

ある程度はこんなもんだと思いながら、認知症の方に接していくスキルを上げる事を意識していって下さい。そうすれば介護の仕事を上手く続けていく事ができるようになります。