介護未経験者が食事介助で注意すべき点を現役介護士が語るよ!
未経験から介護職をはじめる人へ!
現在日本では世界でも類を見ないほどの高齢化社会を迎えようとしています。
その中で介護職は今後も需要が見込める数少ない仕事の一つといえるでしょう。
安定した職種として皆さんが多少なりとも興味を持たれいるかと思います。
しかし、介護未経験の方にはなかなか仕事内容が想像つかないと思います。
基本介護の仕事は「入浴・排泄・食事」なのですが、今回は食事にスポットを当てて説明していきたいと思います。
介護未経験者が食事介助で注意すべき点
食事介助と一言で言っても色々な食事形態があるのはご存知でしょうか?
皆さんは歯も歯茎も丈夫ですので、焼肉やホルモン焼きなど弾力性のあるものを難なく(?)食べられるかと思います。
しかし、高齢者になるとそうはいきません。
歯は抜け落ちて入れ歯であったり、歯茎がやせ衰えその入れ歯が合わずうまく食事を取れない場合があります。
その時は食事形態を細かく刻んだり、ムース食と言ってミキサーにかけとろみ粉をつけたものを提供します。
また、健常者と違い飲み込むスピードもゆっくりですので、自分が食べるスピードに合わせるとムセさせてしまうことがあります。
加え口の中にご飯を溜め込んでいる場合もありますので、確実に飲み込んだことを確認してから食事介助する必要があります。
中には溜め込んだ食事を職員に吹きかける人もいるので注意が必要です。
糖尿病患者さんにも注意が必要です。
飲み薬でコントロールできている方ならまだ良いのですが、インシュリン注射をされている場合は食事摂取量を確認する必要があります。
認知症の方は自分が糖尿病であると認識していない人がほとんどですので、食事を拒否する事で低血糖症状になり意識喪失から亡くなるケースもあります。
他には高血圧症の方には塩分制限(醤油が少ない)がかかりますし、カリウム値が高い方には生野菜が禁止になります(野菜は湯でさらし、果物は全て缶詰になります。)
よく病院食は味が無くて美味しくないと言われますが、基礎疾患によって提供される食事内容が違いますので全部が全部まずいとは限らないのです。
(余談なのですが、家族さんの中にはいくら患者がこれは食べれませんと言ってもこっそり持ってきて食べさせるケースがとても多くあります。そこで具合が悪くなって私達に文句を言うということも多々あります。)
介護士の仕事の中でも食事介助は簡単な仕事の一つ?
もちろん他の業務に比べると楽といえば楽かもしれません。
しかし、食事は直接命に直結する場合もあります。
正月になると餅をつまらせて亡くなったとのニュースをよく聞くかと思います。
私も通所リハで勤務していたときに、家で過ごされていた利用者さんが家族のいない間に餅を詰まらせ亡くなりました。
施設では行事食として正月に小さな餅を提供する場合もありますので、細心の注意が必要となってきます。
噛み辛いこんにゃくやタコ・イカ・芋などが挙げられます。
また、以外に思われるかもしれませんがスイーツの「ミルフィーユ」を詰まらせて亡くなる事例も起きています。
食事中にいきなり意識を無くし、そのまま口の中のご飯を詰まらせる事故も起きています。
何も食事を食べさせることが食事介助ではありません。食事中の見守りも重要な仕事の一つです。
事実、歩行時の転倒や車椅子からの転落についで事故が多いのが食事中なのです。
利用者さんがご飯を詰まらせた!どうする!
もし利用者さんが食物を詰まらせた場合、自分の喉を抑える行動が見られます。
その際には、まず看護師ないし周りの職員を大声呼ぶことが重要です。
詰まらせた場合は背中を叩いたり、ハイムリック法で異物を取り除きます。
口の中に指を突っ込んで異物を取る方法もありますが、極度の緊張状態から歯を噛み締めている場合がありますので下手をしたら指を噛みちぎられる危険性があります。
必ず入れ歯を除去してから対応を行いましょう。
意識をなくされている場合は、心臓マッサージを行う必要も出てきます。
ともかく第一発見者となった場合は落ち着いて本人様に声をかけたあと「大声で人を呼ぶ」事を心がけてください。
食事介助のまとめ
今回は食事介助について説明しましたが、いかがでしょうか?
食事介助と一言で言っても色々な役割があることがお分かりいただけたかと思います。
食事を美味しく楽しく食べる。それは誰しもが望む一つの形ではないでしょうか?
その望む形を構築する一員として介護職は存在します。
「たかが食事」と思わず、「されど食事」の気持ちを持って取り組んでみてはいかがでしょうか?