オープニングスタッフとして働くことのデメリット
昼間に起きることはみんなで対処できるけれど夜勤は…
実際に介護の仕事を始めてみて、いちばんつらく感じたのは夜勤の仕事でした。
入浴介助や食事介助、トイレ介助など、体力も使うし大変な仕事だというイメージがあるかもしれませんが、これはさほど苦になりませんでした。
というのも、昼間はほかのスタッフやナースもいるので、そこでやる仕事、起きることには、助けてくれる人やアドバイスをしてくれる人がたくさんいるからです。
なんとでも対処ができるのです。
ただ、夜勤になるとそうはいきません。
オープン当初は「ひとり夜勤」になることも
夜勤に関していえば、入居者がたくさんいる大きな施設のほうが夜勤者の人数も多く、施設によっては夜勤のナースもいます。
これは、入居者の方に何か起こったときに、とても心強いことです。
逆に、グループホームなどは夜勤者が一人で、夜中に起こるさまざまなことに対応しなければなりません。
このような「ひとり夜勤」の状態は、ベテランでも敬遠する人が多いです。
そして、新規オープン施設の場合、大きな施設でも最初のころは「ひとり夜勤」になってしまうことがあります。
オープン時は研修も兼ねて仕事に慣れるため2人で夜勤をしますが、数回経験すると「ひとり夜勤」になります。
これはオープンから数か月は入居者の数も少ないので、1人でじゅうぶんということなのですね。
だから、入居者が増えれば夜勤者の人数も増えます。しばらくの辛抱といえばそうなのですが……。
しかし、未経験者にとって、これはけっこうつらいものです。
夜勤に不安を感じるようになったできごと
私の場合、初めての仕事の場となった有料老人ホームで、ショックなできごとが起きました。
オープンから2か月ぐらいたったころのことです。
ひとりで夜勤をしていた私は、深夜2時ごろ、ナースコールで呼ばれた入居者の方のトイレ介助をしていました。
そこへ別の部屋からナースコールが鳴りました。
そこから聞こえる声に尋常でないものを感じ、あわててその方の居室に行ってみると、すでにとても苦しそうな様子をされていました。
急いで救急車と施設長に電話をしたところ、まず近くに住んでいたナースが駆けつけてくれましたが、結局、その方は病院に着いて間もなく亡くなられました。
とっさのことに、そのとき自分が何をしたのか、よく覚えていません。とにかく夢中でした。
そして、その方が亡くなられたことを聞いたときには、涙が止まりませんでした。
それからしばらくの間、私は夜勤に対して恐怖感のようなものを感じるようになりました。
夜勤のときに、私と同じような経験をした人は少なくないです。
また、そのようなことがきっかけで、夜勤のないデーサービスや、夜勤はしないことを条件として働いている人もいます。
介護の職場を選ぶときには、事前にその施設の夜勤体制を知っておくことはとても大事なことです。
しかし、新規オープンの施設の場合は入居者の数が増えるまで、「ひとり夜勤」になる可能性もあるのです。
オープン時は出勤日数が少ない?!
もうひとつのオープニングスタッフのデメリットは、やはり入居者が少ないオープン時に起きます。
チェーン展開をしている大手の施設などは、たとえ入居者が少なくても通常通りにスタッフを配置するところが多いようです。
たとえば2人の入居者に対しても、早番が1人、日勤が2人、遅番が1人、それにナースといった具合です。
こうなると入居者の方のお世話をしているというよりも、よってたかってみんなで見張っているという状況に近くなります。
有料老人ホームでは自立の方も多いため、さぞかしうっとおしく感じられたことでしょう。
ただ、施設によっては、入居者が少ないと出勤するスタッフを減らすところがあります。
つまりオープン時にスタッフはたくさん集めたけれど、入居者が集まらないのでスタッフは待機、勤務日数を減らすということです。
施設にとっては、必要以上のスタッフに出勤されても人件費がかかるだけ。このような場合、まずはパートなど非常勤の出勤日数が減ります。
私の知り合いの人で、週3日という条件でオープニングスタッフとして入職したものの、オープン時は2週間に1回の出勤、1か月ぐらいたって週1回の出勤ペースになった人がいました。
施設からもWワークをすすめられたようですが、これでは経済的なメドが立たないという理由で、その施設を辞めてしまったそうです。
ほかにもハローワークの紹介で応募し、同様の状態になった人がいました。この人はハローワークに状況を相談し、別の施設に移りました。
困ったときに相談できる場所を
私が経験したり、知り合いからきいた、オープニングスタッフとして働くことのデメリットはこの2点です。
どちらもオープン時に起きることで、施設側も予測できず、ましてや自分で防げるものではありません。
先ほどのハローワークで応募した人のように、やはり直接、施設に応募するより、人材派遣会社やハローワークを通して応募することをオススメします。
特に未経験の方は、自分が思っていたのと違うことや予期せぬできごとが起こったとき、相談できる場所があったほうがいいと思うからです。