介護職でも排せつ介助が嫌という人は多い？！

介護を行う上で切っても切れない関係である「食事・入浴・排泄」の３大介助ですが、やはり皆さん嫌がるのは「排泄」ではないでしょうか？

食事や入浴については、皆さんが普段通りしている事を提供すればよいのでそこまで抵抗はないかもしれませんが、排泄については家で介護をしていない限り初めての方ばかりになると思います。

介護職を始める人にとっては最初の難関と言っても過言ではないでしょう。

しかし、排泄介助の重要性を理解すればこれも大事な仕事だと認識するはずです。

ここでは排泄介助とはいったいなんなのか？説明していきたいと思います。

排泄物の臭いがキツイのはなぜ？

私が介護職に就いて最初に抵抗を覚えたのは「排せつ介助」でした。

通所リハに所属していた頃は自分でトイレを出来る人が多かったのでそこまで手間と考えたことはなかったのですが、施設関係になると自分で出来ない人が多いので、必然とオムツ交換を行わないといけませんでした。

ここで質問です。
皆さんは排尿や排便についてどう思われますか？

「排泄物なんて臭いに決まっている！」「オムツなんて汚い物触りたくない！」と思われていませんか？

実際その通りなのですが、現実は皆さんが思っている以上に臭いや汚染物に関わる時間がとても長いです。

また、処理しようにも下痢が酷く全身更衣しないといけない時もあれば、交換中に暴力を振るわれる事もあります。

そのような事に対応しながら交換しないといけないので、個人の対応をキチンととらないといけません。

ところで話は変わりますが、皆さんは赤ちゃんの便を見られたことがありますか？

子育て経験者の方はお分かりかもしれませんが、排泄物の臭いはしますがそこまで苦痛ではありません。

では、どうして患者さんの排泄物は臭いがきついのか？それは持病と飲んでいる薬が原因なのです。

排泄物は健康のバロメーター？

皆さんは糖尿病患者のおしっこにはアリがたかるのをご存じでしょうか？

これは尿の中に糖分が含まれており、それにアリが糖分を求めて集まります。

また、おしっこに血液が混ざる場合も色々な病気が疑われます。

例えば、腎臓などの尿の通り道に石がたまる「尿道結石」の場合は、脇腹の痛みと排尿時に激しい痛みを生じます。

また、普段は１日7回しかトイレに行かない方が23回も行くなどの場合は「膀胱炎」や「糖尿病」の疑いがあります。

膀胱炎は膀胱に細菌が繁殖し急激な熱発と全身の寒気、血尿が確認でき女性に多く見受けられます。原因としては尿管の短さが指摘されています。（男性の場合は16～18㎝、女性は3～4㎝）

また濁っている尿は細菌に感染している可能性があり、尿をした後に中々泡が無くならない場合は腎臓を傷めている場合があります。

また、尿が出ないことによりアンモニアが脳内に運ばれ最悪亡くなるケースもあります（アンモニア昏睡）

このように尿一つとっても色々な病気が判明する場合があるのです。

私が知っている事例で、ある女性患者のトイレ回数が急激に増えました。

1日6回だった人が30回も行くようになったのですが、排尿自体は20ccもない程度でした。

家族は何かおかしいとスタッフに訴えていましたが、スタッフはそこまで深刻に考えていませんでした。

その次の日、昏睡状態になり救急搬送され一命を取り留める事が出来ました。

原因は排尿できず膀胱内がパンパンになり、またアンモニア毒素が血液中に混ざり昏睡状態を引き起こしたものでした。

また、排便についても同様で、便秘が続くことで引き起こされる「腸閉塞（イレウス）」があり、これに罹ると酷い腹痛や嘔吐に繋がり最悪死に繋がります。

排便の色にも注意が必要です。

便が黒い時は胃や食道から出血している可能性があり、便が赤い時は肛門や大腸が傷付いている場合があります。

下痢が続く場合はノロウィルスなどの感染や大腸のバランスが崩れている時に起きる事が多くあります。

排泄物と一言で言うのは簡単ですが、それにより様々な病気が判明する事があるのです。

そして普段との違いにいち早く気が付く、それが介護職なのです。

排泄物の処理にこまっちゃう；；

排泄物の処理方法ですが、オムツの中に包んで新聞紙ないしビニール袋の中に入れて処分します。

皆さんそのままオムツの中やトイレでしてくれるとありがたいのですが、認知症や何かの原因で認識が低下している場合はなかなか思うようにいきません。

オムツ交換しようとすると叩いて来たり、排泄物を投げつけたりします。

部屋に入ると排泄物を食べている所に遭遇し、無理矢理吐き出させたこともありました。

その時も「私のご飯を返せ！」と鬼気迫る表情で噛みつこうとしていました。

夜勤中に部屋の中を排便で塗りたくっている姿を見たこともあります（その時は一人で対応出来ないと判断し、朝職員が来るまでそのまま様子を見ていました）

また、ノロウィルスに感染している場合などは最悪です。

嘔吐物や排泄物の中にノロウィルスがいますので、処理の仕方を一つ間違えると自分まで感染します。

それが自分だけ感染で済めばよいのですが、家族にかかってしまうと目も当てられません。

一昨年妻がノロウィルスに罹り、そのウィルスから子供二人もかかってしまい対応にとても苦慮しました。

しかし、介護士をやるとこんないい事があるので嫌な事も乗り越える事ができる？！

このように排泄物について説明してきましたが、皆さんはどう感じられたでしょうか？

「やっぱり大変そう」「汚れ仕事みたいでイヤだ」と思われるかもしれません。

確かに大変で汚れる仕事ですが、慣れてしまえば何という事はありません。

介護職を長くしていると知り合いの方から「オムツ交換の方法を教えて」や「うちのじーちゃんおしっこ遠いんだけど」等の相談を受けるようになります。

その時は自分の持っているスキルを発揮する事で、多くの人の手助けをする事が出来ます。

また、排泄介助のスキルが高ければ再就職も有利に働き、職場で即戦力となる事も可能です。

私も経験者という事もあり、すぐに再就職する事が出来ましたし何の違和感もなく業務に当たっています。

「自分がなにもスキルがない」「何をすれば分からない」とお思いの方は試しに介護職をされてみてはいかがでしょうか？

別に一生の仕事にしなくてもよいのです。

まずは触りだけ経験し合っていると思えば続けていいし、合っていないと思えば辞めればいいだけの話です。

気負わずに軽い気持ちでチャレンジされてみてはいかがでしょうか？